光のもとでⅠ
 次にはそれを証明する書類を見せられた。
 直筆と思われるサインふたつと学校印が押されている。書類があるのだから事実なのだろう。それはわかったけれど――。
「三学期は進級試験のテスト勉強が大変なんじゃないの?」
 藤宮のテストで一番ボリュームがあり、かつシビアなのは三学期の進級試験と蒼兄から聞いていた。
 一、二学期でどれほど優秀な成績をおさめていても、三学期の進級試験をパスできないと進級が危ぶまれるという。
「誰にものを言っている?」
 無表情がより際立つ物言いにトクンと心臓が飛び跳ねた。
「俺の心配をするくらいなら自分の心配してくれないか? 少なくとも、俺自身は翠に時間を割く程度で進級できない事態に陥るとは思っていない」
 サラリとそう言えてしまう自信が羨ましい。
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