光のもとでⅠ
 届かないメールにつながらない電話。
 仕事で接することが多い唯兄なら何か知っているかもしれない。
 そうは思うのに、どうしても訊けなかった。
 何がどうしてこういうことになっているのか、知ることが怖くて。
「何かあったのかな」「どうしたのかな」――そんなふうに訊くことができなかった。
 きっと何かの間違い……。数日したらまたつながる。
 そう自分に言い聞かせ、私は誰にも確認せず、毎日送っては返ってくるメールを受信ボックスに溜めていった。

 秋斗さんと連絡がつかなくなってからは、毎回ツカサに勉強を教えてもらっていた。
 頻度が増えたことにツカサは気づいているだろうか。
 メールをすれば来てくれる。いつもと変わることなく勉強を教えてくれる。
 秋斗さんの話に触れることはなく、訊かれることもなく、気づけば一月の最終週を迎えていた。
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