光のもとでⅠ
 けれど、どれだけ思い出そうとしても、自分の足でここまで歩いてきた記憶は見つからない。
 どこまで意識があっただろうか、と思い起こすも、ステージが下がり始めるあたりまでだ。
 目をあけると、一番最初に視界へ飛び込んできたのはクリーム色のカーテンと点滴パックだった。
 やっぱり保健室……。
 私、倒れたの……?
 携帯を取り出そうとしたら、カーテンがシャッ、と開いた。
「翠葉、起きたみたいね? 気分は?」
「……体を起こしてみないことにはなんとも……」
「手、貸すからゆっくり起きなさい」
 いわれて、左側から湊先生の介助を得てゆっくりと身体を起こした。
「……少し、くらくらします。っていうか、ふらふら、かな? 身体に力が入らない感じ」
「エネルギー不足ね。ずっと休んでたんだからこのくらいは仕方ないか。今五限の最中だけどまだ点滴終わらないから今日はこのあとの授業は休みなさい。あとでコンシェルジュに迎えに来るよう連絡入れておくから」
「あら、この子、ナンバーツーのマンションにいるの?」
 カーテンの隙間から篠宮先生が入ってきて、ベッドの足元に腰掛けた。
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