光のもとでⅠ
「ふたりにお願いがあるの。私、どうしても秋斗さんと話がしたい」
『……具体的に、リィは俺たちに何をしてほしいの?』
唯兄に訊かれ、私は息をす、と吸い込んだ。
「秋斗さんのいるところへ連れて行ってほしい。電話に出ないのが秋斗さんの意思なら、私が秋斗さんに会いに行く。会って、捕まえて、話を聞いてもらう」
ふたりは顔を見合わせて黙り込んでしまった。
『……リィはまだ入院中でしょ』
「だから、力を貸してほしいの」
ここが九階ならまだ抜け出す策をひとりでも練れたかもしれない。でも、ここは要塞とも言えるような十階なのだ。外に出るにはセキュリティをパスしなくてはいけないし、何より、セキュリティ前にある待機室には警備員が常駐している。止められこそすれ、通してもらえるとは思わない。非常口ならナースセンターの前を通らずに出ることは可能だけれど、私が居なくなったら警護についてくれている人たちや先生たちに心配と迷惑をかける。
佐野くんが言ってくれた忠告を聞くなら、それらすべてをパスしなくてはいけない。その要には唯兄がいると思った。
『……具体的に、リィは俺たちに何をしてほしいの?』
唯兄に訊かれ、私は息をす、と吸い込んだ。
「秋斗さんのいるところへ連れて行ってほしい。電話に出ないのが秋斗さんの意思なら、私が秋斗さんに会いに行く。会って、捕まえて、話を聞いてもらう」
ふたりは顔を見合わせて黙り込んでしまった。
『……リィはまだ入院中でしょ』
「だから、力を貸してほしいの」
ここが九階ならまだ抜け出す策をひとりでも練れたかもしれない。でも、ここは要塞とも言えるような十階なのだ。外に出るにはセキュリティをパスしなくてはいけないし、何より、セキュリティ前にある待機室には警備員が常駐している。止められこそすれ、通してもらえるとは思わない。非常口ならナースセンターの前を通らずに出ることは可能だけれど、私が居なくなったら警護についてくれている人たちや先生たちに心配と迷惑をかける。
佐野くんが言ってくれた忠告を聞くなら、それらすべてをパスしなくてはいけない。その要には唯兄がいると思った。