光のもとでⅠ
「……本当は自分の足で行きたかったの。電車乗り継いで、バスに乗って。そうやって自分の足で行きたかったの」
『リィ、ごめん。それだけは呑めない』
「うん、佐野くんにも反対された」
 ここで初めて佐野くんの名前を出すと、ふたりは「え?」という顔をした。
 だから、唯兄に電話する前に、佐野くんに相談したことを話した。
『軽くショック……』
 唯兄がだれんとうな垂れる。
『唯……それは軽くって域を超えてる形状……』
 苦笑しながら蒼兄が、
『でも、気持ちはわかるよ。俺だって翠葉が俺じゃなくて唯に相談もちかけたときはショックだったし。俺よりも先に唯に連絡したこととか相当ショックだったし』
『ああああ……そうか、こういう気持ちだったんだ?』
 ふたりはショックな気持ちを分かち合っているようだった。
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