光のもとでⅠ
「それにしても」と言葉を続けたのは篠宮先生で、その先の言葉に驚いた。
 その言葉、とは"御園生翠葉"という自分の名前なのだけど、まさかフルネームで呼ばれるとは思ってもみなくてびっくりしたのだ。
 詰まるところ、こう言われた。
「それにしても、御園生翠葉あんた大丈夫なの? あんなメンバーの中で」
 大丈夫、とは何に対してなのだろう。
 この状況の場合、容態や体調と取るのが相応しい気がするけれど、先生はあんなメンバーの中で、と口にしたのだ。
「あの……"大丈夫"はどこにかかるのでしょうか?」
「だから、あんなメンバーの中にいて潰されないかってことよ」
 潰れるとは優しさに押し潰されないか、ということ? それとも、勢いに押し潰されないか、ということ?
「……あの、何に潰されちゃうのでしょう?」
「ちょっと湊、この子本当に学年三位なの!? 未履修分野の課題を異例の速さでパスした超人っ!? 人間違えてたりしない!?」
 ……それは間違いなく私のことだと思うのだけれど、もしかして疑われているのだろうか……。
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