光のもとでⅠ
 相馬先生は近くにあった椅子を引き寄せベッド脇に座る。
 そして、点滴が刺さっている、皮膚がむき出しになっている手首を包み込むようにあたためてくれた。
「おまえも苦労してんな」
 苦笑交じりに言われる。
「どうでしょう……。私は色んなことに不器用で、先生に言われたことも満足にできない」
「たとえば?」
「がんばりどころを間違えるなって言ってくれたでしょう? でも、私、ものの見事に間違えてました。色んなことに――。悔やんでも前には進めないから、それなら改めて前に進まなくちゃいけないって、やっとわかったところなんです」
「……ふん、珍しく頭回ってんじゃねぇか」
「潤滑油さしてくれる友達がいたから」
 クスリと笑うと、とても穏やかな笑みを返された。
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