光のもとでⅠ
 そもそも、何かを言える義理ではないので過ぎたことは諦めようと思い直す。
 空港に着くと、リムジンは静かに緩やかに停車した。
 点滴を外されドアが開くと、早く降りるよう促される。
 外には、ほかの警備員さんの手により用意された車椅子が待っていた。
「先生、ここからは歩いていきたい」
「だめ」
「どうしても?」
「どうしても。……行けばわかると思うけど、空港は広いの。ラウンジまで、私ですら十分近くかかるのよ」
 先生の足で十分と言うなら、私の足ではもっとかかる。それはマンションから学校までの距離で嫌と言うほど証明されていた。みんなが十分弱で歩くところを私は倍近い時間をかけて歩くのだから……。
 渋々車椅子に座ると、黒服の人ふたりに誘導されて空港内を移動した。
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