光のもとでⅠ
「そうよ、あんたサボりすぎ」
「っていうか、本当に忙しいのよ」
 話についていけないでいると、
「私、三年AB、二年のABクラスのみ英語教諭なの。それから生徒会顧問でもあり、学園規則委員長の肩書き持っているわけ」
「……それはお忙しそうですね」
 どのくらい忙しいのかは不明だ。でも、肩書きがいくつかあるのは大変なことだろうと思う。
「いっそがしいわよ~。だから、生徒会は秋斗に押し付けたんだけどね」
 と、さらりと言う。
 あ……前に秋斗さんが言ってた顧問は別にいるけれど忙しい人、というのは篠宮先生のことだったのだ。
 それに、湊先生張りの篠宮先生では押し付けられても文句は言えない気がした。
「ま、あんま無理しなさんな。病院での通信学習制度も早ければ二学期には使えるようになるわ」
 それ、やっぱりやだな……。
 だって、まるで入院することが前提みたいに思える。
 たとえるならば、まだ誰も亡くなっていないのにお墓を用意する、みたいな気分。
「なんて顔してんのよ」
 と、今朝湊先生に言われたのと同じ言葉を言われた。
「なんでもないです」
 それ以外になんて答えられただろう。
「じゃ、私行くわ」
 と、篠宮先生はカーテンを出ていった。
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