光のもとでⅠ
「不整脈はまだ続いているけど、今日一日おとなしくしてれば頻発はしなくなるんじゃないか……っていうのは私の希望的観測。あんた、おとなしくしてなさいよ? じゃないと退院はお預けよ」
 まるで脅迫。でも、佐野くんと約束したし、お母さんたちとも約束した。予定どおり火曜日から学校に通いたい。だから、おとなしくしてる。点滴や心電図だって嫌がらない。
「先生……ありがとうございます。空港まで連れて行ってくれて……。早くに病院へ連れて帰ってきてくれて……ありがとうございます」
「……早く元気になりなさい」
 軽く額をデコピンされた。

 病室ではお父さんとお母さんが待っていた。
 ストレッチャーで運ばれてきた私にお母さんが駆け寄る。
「先生、娘はっ」
 先生は空港で不整脈を起こして倒れた旨を話した。
< 9,256 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop