光のもとでⅠ
 私は身体を起こし、食い入るように湊先生を見る。
「あんた、司に嵌められたのよ」
「なっ……」
 開いた口が塞がらない。
「秋斗、今回は向こうの医療メーカーにプレゼンしに行くだけ。契約が取れたら向こうに足場はつくるでしょうけど、それまで拠点は日本よ。今回は確か二週間で帰ってくるって言ってたはず」
「……先生――私、心のやり場がなくて困ってます」
「それなら張本人の司にぶつけるといいわ」
 それは難しい……。何しろ、私は秋斗さんにもひどいことをしていたけれど、ツカサにも同等のことをしているわけで……。なんと言っても、こちらは未だに現在進行形。
「どっちにしろ、あと二時間もしたら蒼樹たちと一緒に帰ってくるわよ」
 そう言って、先生は検査の準備を始めた。
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