光のもとでⅠ
「海斗。藤宮司だもの、あれが関の山でしょ?」
 桃華さんが海斗くんをなだめる。
「いやぁ……それにしたって、もっと何かあるだろうよ」
 と、春日先輩が呆れたように口にした。
「でも、司だしね」
 と、言ったのは荒川先輩。
「……っていうかさ、藤宮先輩一歩も保健室に入らなかったよ」
 と、飛鳥ちゃんがドアを凝視していると、
「だな……」
 と、腕組をしている佐野くんが頷いた。
「「でも、司だし……」」
 と、声を揃えたのは里見先輩と加納先輩で――。
 一通りみんなの感想が出揃うと、窓際から一際大きな笑い声が聞こえた。
 湊先生だ。
「なーんだ、司の周りにもこんな人間たちがいたのね」
 と、身体を捩じらせて笑う。
「あの、心配をかけてすみませんでした。様子見に来てくれてありがとうございます」
 座ったまま頭を下げると、
「翠葉ちゃん、違う」
 と、里見先輩にびしっと指で指された。
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