光のもとでⅠ
 確かに、唯兄はツカサをいじりすぎだと思う節は否めない。だから、私は笑うに留めた。
「手……つないでもいい?」
 訊くと、返事の代わりに手がつながれた。
「待って……」
 不思議そうな顔をするツカサを前に手袋をはずす。
「なっ……寒いだろ!?」
「寒くない……。ツカサの手、あたたかいもの」
 素手でツカサの体温を感じていたかった。あたたかいからなんて建前。ただ、ツカサの手に、直に触れたかっただけ。
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