光のもとでⅠ

エピローグ

 枠の外には大きな世界があった。
 それぞれの世界にはそれぞれの特徴がある。
 あたたかい空気、冷たい空気、ぬるい空気、ふんわりした空気、ぴりっとした空気、湿度を多く含む空気、カラカラに乾燥した空気。
 慣れない空気には未だ身を硬くしてしまうけれど、一歩踏み出したら今まで見えなかった景色が見えた。
 踏み出したら、あたたかな笑顔とぬくもりを得ることができた。
 手を伸ばしてものを得ることを知ると同時に、失う怖さも知った。けれど、一度手から零れたものはまた掬えばいいのだ、と教えてくれる人がいた。
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