光のもとでⅠ
「ホント、ちょっぱやで着替えてくるからのんびり昇降口まで歩いててよ」
「え、佐野君っ!?」
 慌てる御園生の声を背で聞き走り出した。
 御園生の性格なら先に帰るということはない。申し訳ないと思いつつ、結局は俺を待っているだろう。
 御園生の足なら今はどこを歩いているか、そんなことを考えながら超ダッシュで着替えを済ませて部室を出た。
「今度紹介しろよっ!」
 さすがに先輩の言葉は無視できない。けど、紹介できるともしようとも思わない。そこで、俺はある人物の存在を借りることにした。
「俺じゃなくて藤宮先輩に断ったほうがよくないですか? 自分、あの先輩には睨まれたくないんですよね」
「お前、ホント逃げるのうまいよなー」
 くくっと諦めのような笑いが生まれる。
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