光のもとでⅠ
「俺だって藤宮に睨まれるのはごめんだよ。だから佐野に頼んでんのにさ」
 とくにあとを引かない嫌みを返され、「んじゃ、お先です」と走り出した。
 きっと今ごろ靴に履き替え、あと三十秒で昇降口から出てくる。
 俺は御園生が下駄箱を閉める間際に昇降口に滑り込んだ。
 気配に気づいた御園生が、「あ」と口を開ける。そして、
「部活、お疲れ様」
 とても穏やかな表情で言われた。
「ありがと。でも、御園生もね? お疲れ様」
「……ありがとう」
 飽和状態に見えたのは、やっぱり下手な照明の当たり具合からだったんだろうか。
「午後からぶっ通しでこの時間だろ?」
「うん……」
「大丈夫だった?」
 御園生が返事する前に少し言葉を継ぎ足す。
「いや、うんと……その色々と」
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