光のもとでⅠ
 別に性教育自体が悪いものだと思っているわけじゃないし、口にするのが憚られるものだと思ってるわけでもないんだけど、なんとなく……。
 照れ隠しに視線を逸らしてしまったけど、ゆっくりと御園生に視線を戻すと、
「大丈夫だったよ」
 穏やかで意思のある目が俺を見ていた。
「大丈夫だったよ。たぶん、佐野くんたちが受けた、っていう筆記試験は全部口頭で答えた。それから、最後にある実技試験もパスしてきた」
 地に足のついた声だった。
 意外に思ってしばし呆然としてしまったけど、御園生だから話せると思った。
 この手の話しでも、相手が女子でも、御園生だから話せると――。
「御園生、冷静。すごく落ち着いてる」
「うん……。途中、色んなこと思い出して泣いちゃったりもしたけれど、それが良かったのかな? 少しすっきりした。それと、知ることができて良かったと思う」
「そっか」
「うん」
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