光のもとでⅠ
 御園生が反応を見せたのは五分ほど経ってから。目を開けるまでの時間が異様に長く感じ、生きた心地がしなかった。
 湊先生に怒鳴られて返事をした御園生は、自分の状況が理解できていないようで、質問されるたびに、言われた言葉を理解してから返事を考える……という手順を踏んでるように思えた。そのくらい、ひどく反応が鈍かった。
 先生とのやりとりを終えると、まるで深呼吸をするかのように息を吸い込む。そして、驚いたように目を大きく開いた。
 それを疑問に思ったのは俺だけじゃなかったみたいで、
「どうかした?」
 栞さんが訊くと、
「酸素が足りなくて……」
 答えた瞬間に口元を抑えた。
 その直後、絶妙なタイミングで唯さんがその場の空気を変えたけど――目が放せなかった。
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