光のもとでⅠ
 それだけ大切に思っている相手で、踏み込みたい踏み込ませてほしい相手。
 御園生、気づけよ……。
 時間をかければ話してくれる、誰もがそう思ってた。少なくとも、俺たち四人には話してくれるだろう、と。
 でも、御園生は誰にも何も話さず帰ってしまった。俺たちの予定では、本当はこの場に御園生もいるはずだったのに……。
 絶対問い詰めたりしない同盟を結んでいた俺たちは結果散々で落ち込む有様。
 神様がいるならこの状況録画して御園生に見せてほしい。そんなことを思うくらいにダメダメだった。
 うまく訊きだそうと思えばできたかもしれない。でも、訊き出すんじゃなくて話してくれることに意味がある気がして――だから、簾条も核心には触れなかったんだと思う。
 タイミングって難しい。見ない優しさ、待つ優しさ、手を差し伸べる優しさ。そのどれが御園生に必要なのか、見極めるのは非常に困難で……。
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