光のもとでⅠ
 怖くないと教えても、かわいいと同意しても、なかなか手を伸ばそうとはしない。しだいに、翠葉ちゃんの足元に寄っていったスノウが藤宮先輩に見えてきた。
 藤宮先輩はスノウほど人懐こいわけじゃない。どちらかというと猛禽類みたいな人だ。
 でも、翠葉ちゃんに対してはスノウみたい……。
 翠葉ちゃんだってスノウを触りたいと思っているはずなのに……。藤宮先輩に好意を持ってるはずのに……。どうして――。
 奥歯に力が入る。
 気持ちが通じているのに、どうして一方通行にしてしまうんだろう。
 理解、できない――。
 気づくと、私は小屋に翠葉ちゃんを引きずり込んでいた。
 スノウを呼ぶと一目散に駆けてくる。こんなに好かれているのに……。
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