光のもとでⅠ
「藤宮先輩も翠葉ちゃんのこと好きなのに――」
 ごめんね、翠葉ちゃん。きっと私がこんなふうに訊いていいことじゃない。でも、訊かずにはいられない。
 私、藤宮先輩と翠葉ちゃんが一緒にいるところを見ると、胸が張り裂けそうな気持ちになるんだ。見てて、すごくすごくつらいんだ。
 翠葉ちゃんは、つらくないの……?
「まさかとは思うけど、あそこまで意思表示されてて気づいてないとかはないよね?」
 そんなわけない。わかっているけど訊かずにはいられない。
「……どうして? なんで藤宮先輩避けるの?」
「っ……避けてな――」
「避けてるよっ」
 瞬発力全開で立ち上がる。
 何をどうしたら、「避けてない」と言えるのか。信じられない思いで翠葉ちゃんを見下ろした。
< 9,367 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop