光のもとでⅠ
25
唯兄に電話をかけるのは初めて――。
ディスプレイに表示されている名前と番号が、見たことのない文字と数字で新鮮。
私の携帯ディスプレイには限られた人たちの名前と番号しか表示されることがないから。
それでも、高校に通うことがなければ持たなかったであろう携帯。そして、持ったとしても蒼兄か両親からしかかかってこなかったであろう携帯。
今は違う……。
家族以外に桃華さんたちや湊先生、栞さんや司先輩、秋斗さんからかかってくる。
「なんなら私からかけるわよ?」
湊先生声をかけられてはっとした。
「違うんです、そうじゃなくて――」
慌てて引き止めると、「ん?」と訊かれた。
「携帯のディスプレイが新鮮っていうか……。今は色んな人の名前や番号が入っていて、家族以外の人からも電話やメールが届くなぁ……って思っただけなんです」
「普通でしょ?」
どこか含みを持った笑みが司先輩に似ていた。
そんな表情を見てほっとしてしまう私は何かおかしいのだろうか。
改めて携帯に向き直り通話ボタンを押した。
ディスプレイに表示されている名前と番号が、見たことのない文字と数字で新鮮。
私の携帯ディスプレイには限られた人たちの名前と番号しか表示されることがないから。
それでも、高校に通うことがなければ持たなかったであろう携帯。そして、持ったとしても蒼兄か両親からしかかかってこなかったであろう携帯。
今は違う……。
家族以外に桃華さんたちや湊先生、栞さんや司先輩、秋斗さんからかかってくる。
「なんなら私からかけるわよ?」
湊先生声をかけられてはっとした。
「違うんです、そうじゃなくて――」
慌てて引き止めると、「ん?」と訊かれた。
「携帯のディスプレイが新鮮っていうか……。今は色んな人の名前や番号が入っていて、家族以外の人からも電話やメールが届くなぁ……って思っただけなんです」
「普通でしょ?」
どこか含みを持った笑みが司先輩に似ていた。
そんな表情を見てほっとしてしまう私は何かおかしいのだろうか。
改めて携帯に向き直り通話ボタンを押した。