光のもとでⅠ
『んー……どうでしょうね』
 唯らしくない、妙に歯切れの悪い返事。いつもなら割と簡潔な報告をよこすのに。
『俺が一緒に暮らしててわかるのは、ある程度痛みが出てるんだろうなってことと、胃の調子が悪いことくらいです』
「胃……?」
 鎮痛剤の飲みすぎか……?
『先日、病院で嘔吐が止まらなくなって涼先生が診てくれたんですけど、胃カメラ勧められたのに頑なに拒んでるんですよね……。俺も、今回はやっておいたほうがいいんじゃないの? って何度も言ってるんですけど、何かにつけて拒否られるというか……。年内に受けるつもりはないっぽいです』
「…………」
『でっ、秋斗さんはすでに年内にこなすべき仕事終えてるんですから明日くらい休んでください。っつか、夜寝てます!? だとしたら睡眠何時間!? 睡眠時間四、五時間とってたとしてもあの分量ってありえないでしょっ!? どんなペース配分で仕事してるのか教えてもらえませんかねっ!? もしなんでしたら、蔵元さんに頼んで一日のペース配分表ならぬスケジュール表作ってもらいますけどっ!? 秋斗さん、ちょっと仕事しすぎっ』
 俺は部下であるはずの唯にガツガツ諌められ、言われっぱなしで音声通話を一方的に切られた。
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