光のもとでⅠ
「御園生さん、そういうことは安易に考えないほうがよろしいかと思いますよ」
 言いながら少しずつ距離を詰めているところがまたなんとも……。
 俺はこみ上げてくる笑いを噛み殺し、
「おい、スイハ……。それじゃ診れねーだろーが……」
「だって、戻してませんっ。だから消化器内科にはかからなくてもいいんですよね!?」
 そんな会話をしながらでも涼先生は足を緩めることなく、スイハはじりじりと後退している始末だ。
 くっ、笑えんな。弱肉強食、捕食者と被食者の縮図。
「診察ではなく挨拶ですよ」
 は……?
 ピタリと進撃の足を止めた涼先生を凝視してしまったのは俺だけじゃない。スイハも、
「挨拶……ですか?」
 鳩が豆鉄砲くらったような顔をしている。だが、涼先生は動じることなく答えた。
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