光のもとでⅠ
 そこまで話してやっと気がついたのか、
「先生……手はまだこのままですか?」
 ようやくつながれたままの手のことを訊く。と、
「えぇ。どうやら私は御園生さんにとって大敵の医師になってしまったようですので、こうやって捕まえておかなければ問診もできませんからね」
 きっと笑顔。全面にイケメンのそれを駆使した笑顔で対応しているに違いない。
 スイハは、ポカンと開けた口からこんな言葉を紡いだ。
「涼先生は……ツカサのお父さんですよね」
「えぇ、間違いなく司は私の愚息ですが……?」
「……そっくりです」
 その言葉に、俺は不覚にも吹き出した。
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