光のもとでⅠ
 その後、涼先生は夏にスイハが過ごした病室で診察を済ませ、終わると俺に声をかけにきた。
「すみませんでした。相馬先生の診察前に割り込む形になってしまって。ですが、捕獲方法を伝授していただいたおかげで、失敗に終わらず済みました」
「そりゃ何より。……で、どうでした?」
「良くはないですね……。触診と問診からすると潰瘍があってもおかしくない状態です。が、相変わらず胃カメラに対しては渋い反応で」
「どうしても必要なら予約を入れてしまえばいいのでは? あとは親に電話して連れてこさせればいい話でしょう」
「確かに……。ですが、もう十七歳ですからね。自分の身体を守ること、自分自身が自分の身体に責任を持つことを覚えてもいい頃でしょう」
「なるほど……」
「と、申しましても見過ごせる状態でもありませんでしたので、年明けではありますが予約を入れさせて頂きました。では、私は職務に戻ります」
「お疲れ様です……」
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