光のもとでⅠ
 夏からずっと見てきたが、人に何かをしてもらうとき、スイハは申し訳なさが先に立つ。それが人の好意でも。
 もらえるもんは「ありがと」ともらっておけばいいものを。本当に難儀な性格だ。
「あんなぁ……スイハはこれからも藤宮に関わっていくんだろ? だったらこれくらいやらせとけや。じゃねーと気苦労のもとが取れねーだろーが……」
「…………」
「黙んな……」
 軽くデコピンをすると、スイハは両手で額を押さえた。
「関わると決めたのは私だもの。だから気苦労とかそういうのはないのに……」
 軽く俯いた状態で言われる。
「今は、だ。この先、お前の立場を利用しようとする人間はごまんと出てくるし、それらの中に有する危険因子から身を守るために警護までつけられてんだろ?」
 ありのままを話したつもりだった。それがスイハのスイッチに触れることとは知らず――。
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