光のもとでⅠ
「そんなのどうでもいいっ。ただ、私が関わっていたいだけっ。離れたくないだけでっ……」
「……スイハ?」
 ぎゅっと目を瞑ったが、そこにはすでに涙が滲んでいた。
「みんな、どうしてそいうこと言うんですかっ!? 藤宮とか利用とか護衛とかっ。そんなのっ、そんなのどうでもいいのにっ。私はただっっっ――」
 気づいたら抱きしめていた。いっぱいいっぱいになってどうにもならなくなってる人間を。
 俺、こんなキャラだったか? とどこか客観的に自分を見つつ。
 背中に触れ、肩に触れ、はっとする。
 俺バカだ……。自分の治療を水の泡にした気分。
 せっかく緩めたばかりの筋肉がえらく硬直していた。
「悪ぃ……。ま、落ち着けや。ほれ、身体の力抜いて……」
 ポンポンと優しく背中を叩いて、筋肉の弛緩を促す。
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