光のもとでⅠ
 ふと目に入ったスイハの手は、固く握りこぶしを作っていた。
 これは俺が悪かったのか、スイハの地雷装置があちこちにありすぎるのか……。
 まぁ、なんにせよ、踏んだのは俺か……。
 身体を放し、固まった指をひとつひとつ剥がしていく。
 こんな小さな手にこれだけの力が入るんだな、なんてことを考えながら。
「ほい、真っ直ぐ座れ」
 スイハは背筋を伸ばし、きちんと座った。
 その状態で、鍼でツボをついていく。時間は置かない施術。
 ピンポイントで鍼を刺し、すぐに抜く。そうすることで上半身の筋肉を弛緩させた。
「おまえ、ストレス発散できてっか?」
「……ストレス、発散?」
「ストレスの脈がずっとマックスってーのはよくねぇよ。ちょっとしたことですぐ身体に余計な力が入るしな」
 スイハはきょとんとした顔をしていた。まるで、「ストレスの発散ってなんですか?」と訊かれている気分。
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