光のもとでⅠ
「うん。そう思う……。――朝陽が、見たいの」
「朝陽なら俺がランニングから帰ってくる六時でも間に合う」
 ちょい待ったっ。そういう問題でもないからっ!
 まったくなんなんだよ、この兄妹の会話は。突っ込み放題じゃないか……。これは俺が出ていって粛正してやらねば……。
 最後の一段を降りようとしたとき、
「翠葉?」
 あんちゃんの、疑問符つきの声にピタリと動作を止めた。
「時間を……無駄に過ごしたくないの。冬の寒さを感じたい。霜の降りた土を見たり、草についた露を見たり、外の空気を吸いたい」
「昨日も訊いたけど……何かあったか?」
 なんだ……やっぱり一応は訊いたんじゃん。ま、問い詰めたり訊き出すってことはしてないって意味なんだろうけど。
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