光のもとでⅠ
「じゃ、あと二十分したら出てきて。ちゃんとあったかい格好して、ジョギングコースから大体育館に行く道の分岐地点、そこで待ち合わせ」
「でも、そしたらいつもより走る時間短くなっちゃう……」
「大丈夫。いつもよりハイペースで走るから」
「え?」
「本気で走れば十キロ三十分台で走れる。あと二十分後に翠葉が家を出ればちょうどいい。そしたら翠葉にクールダウン付き合ってもらえる」
 はぁっ!? 十キロ三十分って、時速二十キロで走るってことっ!? それって普通? いやいやいやいや、一キロ三分ってどう考えたって速すぎでしょうっ!? あ、でもあくまでも三十分台だから、三十九分も三十分台の内?
 俺の驚きをよそにふたりの会話は収束へ向かう。
「その代わり、翠葉はちゃんと防寒対策してこいよ?」
「うん。お腹と背中にカイロ張って、タイツにレッグウォーマーと肘までの手袋とダウンコート着る」
 よっこらせっと……。
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