光のもとでⅠ
 俺は立ち上がり様に声を発した。
「残念。ふたつ漏れてる」
 ドアを静かに開くと、リィとあんちゃんのびっくりした顔がこっちを向いていた。
「マフラーとイヤーマフがついたら完璧」
 あとで訊きたいもんだ。これで家を出たあと、俺に連絡をするつもりがあったのかなかったのか。まさかとは思うけど、リィとふたりで早朝散歩するつもりだったのなら俺はちょっと面白くない。
「俺だけ除け者とかやめてよね。……寂しいじゃん」
「っ……」
 リィだけが反応する。あんちゃんは想定済みって感じ。
「別に除け者にしたつもりはないよ。ただ、俺が起きてきたら翠葉が起きてたからさ。その流れで話しててこうなってるだけ」
 知ってるよ、聞いてたから。……なんて言わないけど。
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