光のもとでⅠ
 すると、少し前の会話が突然再開した。
「蒼兄のランニングは習慣なんだよ。走らないと一日のリズムが狂うみたい」
 リィ独特の変則リズムに反射神経のみで対応。
「じゃ、雨の日は大変だ」
「んー……前は雨の日でも走りに行ってたよ? 今でこそ毎回じゃないけど、それでも時々行ってる」
「ますますもって理解に苦しむ……」
「唯兄は一日の始まりに必ずすることってある?」
「んーーー……ベッドの上で伸び? そのほか必ずっていうと……コレ」
 カップを指差し、「カフェインと糖分摂取」と答えた。
「じゃぁ、それ。蒼兄にとってのカフェインと糖分がランニングなの」
「ふーん。……俺は天と地がひっくり返ってもコレの代替案がランニングになることはないけど、あんちゃんがって言うなら納得。で、リィは?」
「私?」
 コーヒーをすすりながらリィを見ると、思い切り首を傾げていた。
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