光のもとでⅠ
「翠葉があまりにも落ち込んでるようだったら伝えてくれって言われてた」

 ――「私たちは友達だから、たまにきついことを言うかもしれない。でも、それで友達をやめるとか離れるとか、そういうことは考えてない。佐野も同じ。私も佐野も、どうでもいい人間が相手なら何も言わずに離れてる」

 あの子たちらしいよね。俺なんかよりリィのフォローが上手なんじゃないかと思う。十六歳やそこらでここまで根回しができるんだから末恐ろしいよ。
 リィはカチコチのまま歩いていた。
 そろそろかな、そろそろだな。あぁ、見えてきた。
 前方に見える山は、朝陽でくっきりと稜線が浮かび上がっている。
「リィ。顔上げてごらん」
 リィは肩ごと揺らして拒絶の意を伝えてきたけど、
「いいから、あーげーるーっ」
 俺は手を離し、両手でリィの頭をサンドして前を見るように力を加えた。
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