光のもとでⅠ
「見えた? 朝陽だよ」
 リィが見たいって言った朝陽だよ。ほら、また新しい一日が始まるよ。
「リィ、ごめん……。なんか最近のリィは危なっかしすぎて見てらんなかったんだ。でも、それでこんなふうに訊くんじゃもっと困らせちゃうよね」
「そんなこと――」
 ない、とは続けられないでしょ? それでいいよ。
「家族の前でくらい、もっと肩の力抜いていいんじゃない?」
 あんちゃんに場所を譲ると、リィの細い肩に両手を乗せ、マフラーの上からマッサージを始めた。
 それもなんだかなぁ、と思うけど、今のリィには必要な気がしたから何も突っ込まない。
 俺ね、朝陽が見れる時間まで仕事してたことなんて数え切れないほどあるけど、朝陽を拝んだことはあまりないんだ。ホテルの俺の部屋は西側にあるから朝陽とは無縁なんだよね。
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