光のもとでⅠ
 こんなふうに朝陽を見たのは――そうだ、家族を亡くして以来かな。
 あのときとは、時の無常を身を切り刻まれる思いで、そんな気持ちで見ていた。
 でも、今は全く違うシチュエーションで、全く違う気持ちで朝陽を臨んでいる。
 いいね、きれいだ。何もかも忘れて新しく何かを始めようって気になるくらいには、きれいだ。
 こんなふうに思えるようになった俺は、きっと前へ進めてる。

 静かな公園に携帯の呼び出し音が鳴る。発信源はリィのポケット。
 リィが携帯を取り出すと、手袋をしているがゆえに通話ボタンを押せない奇特な人になっていた。それを笑って代わったのがあんちゃん。
「もしもし」
 出たとたんにあんちゃんが携帯を遠ざける。
 携帯からは、
『なんで蒼樹が出るの!? 翠葉は!?』
 耳をつんざく勢いで碧さんの声が聞こえてきた。
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