光のもとでⅠ
「お、お母さんっ。私、ここにいるっ。蒼兄たちと一緒にいるっ。手袋してたから通話ボタンが押せなくて蒼兄が出てくれただけっ」
『唯も一緒っ?』
「い、一緒っす。あのですね、今、ものすっごい朝陽がキレイなんですよ」
 やばい、んなこと言ってる場合じゃない。これはそんな言葉に流されてはくれない何か。
『出かけるなら出かけるで置き手紙くらいしていきなさいっ』
 一際大きな怒声だった。
「「「ごめんなさい」」」
 送話口に向かって三人の声が揃う。
『もうっ……三人一緒にいるならいいわ。でも、寒いから早く帰ってらっしゃい。みんなでホットケーキ作るんでしょ?』
「……だって。俺も寒くなってきたし、そろそろ帰ろっか」
 あんちゃんが冷や汗交じりの笑みを見せ、俺たちは帰路についた。
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