光のもとでⅠ
 フロントガラスに水滴がついては、まん丸の雫が上の方へと上がっていく。葵が教えてくれた撥水加工の溶剤に万歳。
「降ってきちゃったな」
「ん……明日も、雨なのかな」
 痛みはだいぶ楽だとは言っているけど、やっぱりつらいのか……?
「……家に帰ったら天気予報を確認しよう」
「蒼兄……幸倉に帰るのは今日? それとも、明日?」
 運転中だけど、少し隣の翠葉をうかがい見た。
「幸倉が恋しい?」
 翠葉は手元を見たまま頷いた。
「……じゃ、家に帰ったら用意して夕飯食べたらみんなで帰ろう」
「本当?」
 返事の代わりににこりと笑う。
「もし唯や母さんが帰る用意に時間がかかるって言うんだったら、俺と翠葉が先に帰るんでも問題ないし」
「……ありがとう」
「そんな、気にすることじゃないよ」
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