光のもとでⅠ
「ね、なんで急にこっちに帰ってきたの? あんちゃん、なんか聞いたの?」
「唯、顔が怖いんだけど……」
 さすがに察しがいい。ついつい苦笑してしまう。
「そりゃね、なんとなく『疎外感』とか感じちゃってるわけで、拗ねてたりもしますよ」
 唯には隠す必要もないか……。
「じゃ、それ取り下げの方向で」
「は?」
「……何かはあるんだろう。でも、俺も今回は聞いてない」
「……あんちゃん、なんか変なもの食べた?」
「唯……俺のこと四歳児くらいだと思ってる?」
「もしくは頭打ったとか?」
「両方違うから……」
 カップにコーヒーを注ぎ唯に勧めると、
「飲んでいいの?」
 なんとなく捨て猫を彷彿とさせる表情で訊かれた。
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