光のもとでⅠ
「どうぞ。やきもち焼きくん」
「ぶー……」
 ますますもって猫のようだ。
 そうだな……今はきっとこんな距離感だ。
 キッチンにいる俺、ダイニングにいる唯、自室にいる翠葉……。
「訊くのは簡単だよな。何も考えずに、どうした? って訊くのはすごく簡単。でも……話してもらうのは難しいな。前はなんでも話してくれたんだけど、今はそうじゃないから」
 距離を測りかねている俺よりも、唯のほうが自然に翠葉の側にいる気がした。
「ただ、俺にも変化があって、情報源が多少増えたかな?」
「何それ、秋斗さん?」
「まさか」
「じゃぁ、桃華嬢だ」
「ピンポン」
 頭の回転のよさはいつでも健在。だから、きっと皆まで話さずとも察してくれるだろう。
「ちょっとクラスで……いつものメンバーと一悶着あったみたい」
 言うと、むっとした目で見られた。
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