光のもとでⅠ
「そんな目で見なくったって話すよ。情報の共有は大切でしょ? ってことで、上に行くか」
「了解」

 俺の部屋で話すとき、唯は決まってベッドを占拠する。それはゲストルームでも幸倉でも変わらない。そして、俺は決まってパソコンチェアーに腰掛ける羽目になっていた。
「でー? 何があったの?」
「まずは佐野くんかな。朝、翠葉がひとりで教室にいるときに聞いたひとり言がきっかけで、詰め寄っちゃったらしい」
「具体的には?」
「うん、なんで入学当初に戻ってるんだとか、笑ってるのに目が笑ってないとか、自分たちが四月から築いてきたものってなんだったんだろうな、とか」
 なるべくサラリと話す。
 けれど、聞いていた唯の表情はひとつ追加するたびに刻々と変わっていく。
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