光のもとでⅠ
涼先生と入れ替わりで病室に入ると、スイハはいつも以上に青白い顔をしていた。
採血をしたから、という類ではない。来たときからそんな顔色だった。
脈診をしても最悪の二文字しか並ばない。
涼先生の言っていたことが気になり、下瞼を見たところ、粘膜は見事に白んでいた。
……貧血、だな。
採血の結果もそのように出るのだろう。
入院している間も食は細かったが、貧血になるほどではなかった。今も飯は食ってるようだが、ここまで顕著に症状が出ているとなると、考えられるのはひとつ――体内で出血が起きている。
即ち、潰瘍……。
「幸倉に帰ったんだろ?」
「帰りました……」
最後の声音が消えると、思いつめた顔で吐き出した。
「でも、何をやっても身が入らないんです……。ピアノを弾いても本を読んでも、カメラを持って外に出ても楽しくない……。先生、どうしよう――」
カタカタと震える体を自身の腕で抱きしめる。
そんな姿を見て思う。細ぇな、と。
採血をしたから、という類ではない。来たときからそんな顔色だった。
脈診をしても最悪の二文字しか並ばない。
涼先生の言っていたことが気になり、下瞼を見たところ、粘膜は見事に白んでいた。
……貧血、だな。
採血の結果もそのように出るのだろう。
入院している間も食は細かったが、貧血になるほどではなかった。今も飯は食ってるようだが、ここまで顕著に症状が出ているとなると、考えられるのはひとつ――体内で出血が起きている。
即ち、潰瘍……。
「幸倉に帰ったんだろ?」
「帰りました……」
最後の声音が消えると、思いつめた顔で吐き出した。
「でも、何をやっても身が入らないんです……。ピアノを弾いても本を読んでも、カメラを持って外に出ても楽しくない……。先生、どうしよう――」
カタカタと震える体を自身の腕で抱きしめる。
そんな姿を見て思う。細ぇな、と。