光のもとでⅠ
 どうにかできるものならしてやりたい……が、しょせん、自分をどうにかできるのは自分しかいない。
 周りの人間はきっかけを与えることはできても、そのきっかけを足がかりに立ち上がれるかどうかはその人間しだい。
 痛々しいケガをした動物を保護したところで、それは一時的な保護でしかない。
 俺は、「探せ」の一言しか言うことができなかった。
 こんなとき、自分の性格を恨みがましく思う。
 相手は十七のガキだ。まだ世間も知らず、処世術だって心得てはいない。そんなやつ相手に手厳しいことを言ってどうする。
 そうは思うが、自分は保護者ではないし、保護者になどなろうとも思わない。
 だからこそのスタンス。
「自分が楽しいと思えること。どうしたら気持ちが楽になるのか、自分で探すことも必要だ」
 これを突き放されたと思うかはスイハしだい。
「与えてもらうことに慣れんな。もっとあがいてみろ」
 野生動物の子ども時代は短いんだぜ? おまえ、仮にももう十七年生きてきてんだろ?
 もう少しがんばってみろ。
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