光のもとでⅠ
「やられた……」
「何?」
「ここによこすつもりはないって」
「……篭城しているお姫様に涼さんって武将がついているとは思わなかった。これは思わぬ伏兵……。さすがに涼さんにダメって言われたものは覆らないか」
 秋兄は惨敗といった感じでうな垂れる。
「でも、明日がある」
 俺が言うと、秋兄は「そうだな」と答えた。
 髪の間から覗く目が鈍く光る。
「そこでリベンジとまいりましょう」
 ただ、今日と同じじゃだめだ……。
「明日は栞さんや姉さんにも声をかけよう。そのほうが確実な気がする……」
「司の提案にしては珍しいな?」
「……父さんに却下された理由をクリアするため」
「何それ」
「……こんな時間によそさまのお嬢さんを男ふたりのもとへ連れて行けるかって言われた」
「なるほど……。じゃ、手堅くセッティングさせていただきましょう? 今日は突発的かつ、杜撰すぎたってところかな」
「認めたくはないけど……」
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