光のもとでⅠ
「……くどいくらい足元を見るようにとでも秋兄に助言された?」
「されてない……」
 答えはするものの、顔を上げようとはしない。そして、さっきから少し気になっていた。やけに肩が上下していると。
「息、上がってるけど……」
「え? あ、それはたぶん心臓のせいで……」
「不整脈?」
 歩みを止め、預けられていた手の脈をとる。
「ち、違うの。心臓は心臓でもそうじゃないっていうか……」
 言ってることが支離滅裂……。でも、いつもの突飛な言動とは種類が違う気がする。
 なんていうか……困ってる人。
 認めたくないけど、それ以外に思いつかなかった。
< 9,521 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop