光のもとでⅠ
「……翠はこの顔が好きなんだと思ってたけど――」
「好きとか嫌いじゃなくてっ。……あのっ、困るだけだからっ。……それから、手……」
「……手って、これ?」
 確認のために脈に触れたままの左手を上げて見せると、
「そう。暑い、から……」
「暑い? ……冷たいの間違いじゃなくて?」
 俺の指先にはひんやりとした感覚が伝っているというのに?
「冷たいけど暑いのっ」
 ……完全なる拒絶。
「……わかった。つまり俺の手は不要ってことね」
 俺の手は拒まれ、挙句、笑うと困るとか……俺の顔に問題があるらしい。
 でも、それをを言うなら俺だって言いたい。
 翠の存在自体が俺の悩みの種だと。
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