光のもとでⅠ
ベールダウンという儀式は母親がベールを花嫁にかぶせることで花嫁をゼロ歳に戻すというもの。そうして生まれる前に戻った花嫁は教会の扉が開くことで誕生する。そこに伸びるバージンロードは花嫁の人生を意味する。
その道を父親と一緒に思い出しながら、踏みしめながら歩くのだ。
祭壇の前でパートナーが父親から新郎に替わり、そこが新しい出発点となる。
「でも、ベールはつけていただけるんでしょ?」
「えぇ、当然だわ。娘を産んだんだもの。この日をどれほど楽しみにしてきたことか」
「遅くなってごめんなさい……」
少しんみしりした雰囲気に涙ぐむと、お母様はクスリと笑った。
「いいのよ。でも、少し心配していたの」
「え……?」
「だって……湊の小さい頃の口癖は――」
「お母様ストップっ」
その先は言わないで……。
「ふふ……だから、安心したわ」
その道を父親と一緒に思い出しながら、踏みしめながら歩くのだ。
祭壇の前でパートナーが父親から新郎に替わり、そこが新しい出発点となる。
「でも、ベールはつけていただけるんでしょ?」
「えぇ、当然だわ。娘を産んだんだもの。この日をどれほど楽しみにしてきたことか」
「遅くなってごめんなさい……」
少しんみしりした雰囲気に涙ぐむと、お母様はクスリと笑った。
「いいのよ。でも、少し心配していたの」
「え……?」
「だって……湊の小さい頃の口癖は――」
「お母様ストップっ」
その先は言わないで……。
「ふふ……だから、安心したわ」