光のもとでⅠ
 本当にごめん……。
 視線でも謝ってみせると、
「唯兄、朗元さんが会長であることを知ってた人はほかにもいたよね?」
 まるで労わるような声で言われた。
「いたけど……」
「お母さんが知ってたってことはお父さんも知ってたよね。蒼兄は私と同じ、知らなかった人。海斗くんと栞さんもびっくりしてたから知らなかった人でしょう? でも、秋斗さんとツカサ、涼先生、湊先生、静さんあたりは知っていたと思う」
 自分の右手を腕枕にして、左手で指折り数える。それは実にのんびりとした様子で、緊張しているようには見えない。
「もう動揺してないの?」
「ううん、してる。してるけど……お昼よりは落ち着いていると思う。時間が経ったからかな? 少しだけ余裕ができたみたい」
「怒る?」
「どうして?」
「なんとなく……」
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