光のもとでⅠ
 戸惑いながら礼を言う傍ら、
「これ、誰がオーダーしてくれたの?」
 訊いたのは唯さん。
「司様より承りました」
 ウェイターは丁寧にも俺の名前を残してその場をあとにした。
「俺の好みを覚えててくれるなんて光栄だねぃ」
 唯さんの視線に捕まって、振り払うように「別に」と答える。
 唯さんの好みを覚えたというよりも、スティックシュガー四本というオーダーが忘れられないだけだ。
 それにしても――なんで誰も気づかない? 誰も何も言わない?
 俺は我慢の限界にきていた。
「海斗も兄さんも使えないな。ついでに、御園生さんと唯さんも……」
 言いながら立ち上がり、翠の座るソファ目がけて歩く。
 俺が言う前に誰か気づけよ――。
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