光のもとでⅠ
 お風呂に入るときもしっかりと傷口が見えるわけではない。
 正面からではむしろ見えないのだ。
 少し横を向いたときに後ろがなんとなく見える程度……。
「あとどれくらいで治るんだろう……」
 早く治ってもらわないと困る……。こんな状態では秋斗さんには会えない。
 私は何をどうしたいのだろう……。
 秋斗さんが目の前にいれば怖いと思う。携帯のディスプレイにその名が表示されるだけでも手が震えてしまう。
 なのに、傷が治ればその気持ちもなくなるんじゃないかと思っている節もある。
 実際そうだったらいいのに……。
 普通に考えたら普通の答えがでるのに……。
 秋斗さんは決して怖い人ではないし、恐れる相手でもない。
 でも、今はどうしても身体が逃げる。
 これはいつまで続くのだろう……。
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